中小企業診断士 財務・会計 平成29年度 H29 第9問 作業時間差異 過去問解説


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以下、本文です。

第9問

標準原価計算を採用している B 工場の以下の資料に基づき、作業時間差異として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

[資 料]
⑴ 原価標準(抜粋)
直接労務費 300 円/時間 × 6時間=1,800 円

⑵ 当月の生産量
月初仕掛品    40 個 (加工進捗度 50 %)
当月投入     120 個
合 計              160 個
月末仕掛品      60 個 (加工進捗度 50 %)
当月完成品    100 個

⑶ 当月の実際直接労務費
実際賃率             310 円/時間
実際直接作業時間      700 時間

[解答群]
ア 不利差異:12,000 千円
イ 不利差異:12,400 千円
ウ 有利差異:  6,000 千円
エ 有利差異:  6,200 千円

 

解説

企業は、なるべく低い原価で効率的に製品を製造しようと、日々努力しています。そのため、あらかじめ目標となる原価(=標準原価)を設け、原価の発生額を個の目標となる原価内に収めるように取り組みます。

また、目標となる原価と実際に掛った原価(=実際原価)を比べて、どこに無駄や非効率があるのかを見つけ、必要に応じて原価の改善を行います。

このように、標準原価によって製品の原価を計算し、実際原価との差額を把握・分析する方法を標準原価計算といいます。

なお、中小企業診断士 財務・会計 平成29年度 H29 第8問 総合原価計算 過去問解説のように実際原価によって製品の原価を計算する方法を、実際原価計算といいます。

標準原価の問題を解く際にも必要なBOX図について説明しているので確認してください。

[資 料]の説明

⑴ 原価標準(抜粋)
直接労務費 300 円/時間 × 6時間=1,800 円

原価標準とは、

製品1個当たりの標準原価です。言い換えるなら、製品1個当たり無駄なく作った場合の原価はこの金額までという予算や計画です。

⑵ 当月の生産量
月初仕掛品    40 個 (加工進捗度 50 %)
当月投入     120 個
合 計              160 個
月末仕掛品      60 個 (加工進捗度 50 %)
当月完成品    100 個

原価標準は、直接材料費、直接労務費、製造間接費に分かれます。このうち、直接労務費、製造間接費は加工費と呼ばれます。

直接労務費は作業員が製品を作るために働いた賃金、製造間接費は電気代等だと考えてください。

この問題で問われているのは、当月投入量の完成品換算量の直接労務費の作業時間差異です。完成品の加工費ではなく、当月投入量の加工費に焦点を当てることに気を付けてください。

⑶ 当月の実際直接労務費
実際賃率             310 円/時間
実際直接作業時間      700 時間

当月の生産量を生産するために実際に掛った総作業員の時給と総作業時間です。原価標準は製品1個当たりの金額なので与えられている数値の単位に気を付けてください。

 

標準原価計算問題を解くときは、

↓画像のようなBOX図と、差異分析図を書きます。画像は私の書き方で、BOXの中に直接個数を書いて、左右の外に完成品換算量とを()付きで書いています。合計の左右は必ず一致します

参考書によっていろいろな書き方がありますので、自分に合った書き方を見つけてください。

この問題では最終的なトータルの加工費(直接労務費)のみ分かればよく、仕掛品の各段階における直接材料費と加工費は使わないので記入していません。

標準原価計算

 

解き方流れ

直接材料費計算に用いる個数(以下、直接個数)は⑵ 当月の生産量として全て与えられているので、そのまま書き込みます。

月初仕掛品、完成品、月末仕掛品それぞれの完成品換算量を計算します

加工費計算に用いる個数は加工進捗度50%として示されています。

どういうことかというと、例えばイスを作る場合を考えます。

1枚の木板を、切って、組み立てて、接着して、塗ると1個のイスが完成するとします。

この場合、加工進捗度50%というのは、切って、組み立ててまでの仕掛品が出来上がっているという意味です。

上で出てきた直接個数(私の呼び方)というのは木板の枚数です。

問題で言い換えると、

BOX図の左側月初に木板が40枚あり、当月120枚を追加し、

BOX図の右側月末までに完成まで出来たのが100個切って、組み立ててまで出来たのが30個木板のままのものが30枚ということです。

切って、組み立ててまで出来た30個は直接個数60×加工進捗度50%ですが、これを完成品換算量といいます。

 

当月投入量の完成品換算量を計算します。

合計の左右は必ず一致するので、右側100+30-左側20=110が当月投入量の完成品換算量です。

この問題ではBOX図は、当月投入量の完成品換算量110を導くためだけに使います。

直接労務費の差異分析図を作成します。

直接労務費の差異=賃率差異+時間差異に分けられます。

賃率差異とは、

標準よりも高い(安い)時給の作業員が作業をしたために生じた差異です。熟練の作業員が必要になってしまった場合は高くなり、素人でも出来た場合は安くなります。

時間差異とは、

標準よりも多くの作業時間を費やした(少ない時間で済んだ)ために生じた際です。素人しか動員できなかった場合は多くの時間が必要になり、熟練の作業員を動員できた場合は少ない時間で済みます。

差異分析図は縦軸を賃率(=時給)、横軸を作業時間とします。

標準賃率の方が、実際賃率より高くても必ず内側(下側)に標準賃率を書き、標準直接作業時間の方が実際直接作業時間より多くても、必ず内側(左側)に標準直接作業時間を書いてください。

そうしないと、有利差異・不利差異の判別がややこしくなります。

↑画像の通り⑴ 原価標準(抜粋)と⑶ 当月の実際直接労務費で与えられている数値を入れていきます。

この時点で1点だけ不明な数値は標準直接作業時間です。これは、当月の生産量を生産するために必要となるはずだった原価標準で考えた場合の総作業時間です。

当月投入完成品間材料×標準直接作業時間=標準直接作業時間として計算出来ます。

問題では、

110個×6時間=660時間

となります。ここまでで、必要な全ての数値が揃いました。

差異分析図を使って時間差異を求めます。

時間差異は差異分析図の右下の四角形の部分です。

標準賃率@300円×(実際直接作業時間700時間ー標準直接作業時間660時間)=12,000円

となります。この差異を計算すると+で出てきました。差異が+ということは、実際に作業員に支払った賃金が、標準(=計画)より高くなってしまった、つまり不利差異(=悪い差異)が発生してしまったという結果になりました。

計算した差異が-で出てきた場合は、逆に計画より実際に支払った賃金が安く済んだという事なので、有利差異(良い差異)が発生したということになります。

この問題では、+12,000の差異が出たので、12,000円の不利差異が正解です。

 

正解

合っていました。

この問題は簿記2級(工業簿記)の標準原価計算の基礎的な問題です。私が平成29年度診断士試験を受けたのは、簿記2級を受けてから半年ぐらい経過していたので全然覚えていませんでしたが、ほぼ勘で解けたのだと思います。

それでも私が、財務・会計で72点得点し科目合格できた理由は「必勝」3か月で4科目合格|中小企業診断士 独学 勉強方法に書いてあるので確認してください。

ただ、この問題は勉強していれば非常に簡単な問題です。製造間接費差異の分析等に変わったとしても解き方は同じなので必ず正解出来るようにしてください。

 

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