中小企業診断士 財務・会計 平成29年度 H29 第23問 最適ポートフォリオ 過去問解説
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以下、本文です。
第23問
最適ポートフォリオの選択に関する次の文中の空欄A〜Cに当てはまる用語の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
危険資産と安全資産が存在する市場では、どのような投資家であっても、選択されるポートフォリオは [A] 上にある。これは、選択可能な危険資産ポートフォリオの組み合わせは無数に存在するが、選択される危険資産の組み合わせは、[A] と危険資産ポートフォリオの [B] が接する点に限られることを意味している。[C] に左右される部分は、この唯一選択される危険資産ポートフォリオと安全資産への投資比率の決定のみとなり、危険資産ポートフォリオ自体の選択は[C]とは別に決定される。
[解答群]
ア A:資本市場線 B:有効フロンティア C:投資家の効用
イ A:証券市場線 B:無差別曲線 C:投資のリターン
ウ A:無差別曲線 B:資本市場線 C:投資の効率性
エ A:有効フロンティア B:証券市場線 C:投資のリスク
解説
解説の都合上、解答を入れた設問文を先に書きます。
危険資産と安全資産が存在する市場では、どのような投資家であっても、選択されるポートフォリオは [資本市場線] 上にある。これは、選択可能な危険資産ポートフォリオの組み合わせは無数に存在するが、選択される危険資産の組み合わせは、[資本市場線] と危険資産ポートフォリオの [有効フロンティア] が接する点に限られることを意味している。[投資家の効用] に左右される部分は、この唯一選択される危険資産ポートフォリオと安全資産への投資比率の決定のみとなり、危険資産ポートフォリオ自体の選択は[投資家の効用]とは別に決定される。
危険資産とは、株式や社債などの収益率の変動が伴う資産のことです。
安全資産とは、リスクが存在せず収益率が変動しない預金や国債のことです。
語句の解説は中小企業診断士財務・会計平成29年度 H29 第19問相関係数過去問解説で詳しくしていますので、先に確認してください。
最適ポートフォリオの問題はなかなかイメージがつきづらいと思います。
イメージを掴むところから始めます。まずは画像①を見てください。
①
設問の「選択可能な危険資産ポートフォリオの組み合わせは無数に存在する」というのは、画像①の円弧で囲まれている部分(=投資機会集合)のことです。
図の縦軸はE[Rp](=ポートフォリオの期待収益率)、横軸はσp(=ポートフォリオの標準偏差=ポートフォリオのリスク)です。
つまり、期待収益率が高いポートフォリオは上の方に位置し、リスクが高いポートフォリオは右の方にに位置します。
投資機会集合とは、
選択できる危険資産の組み合わせの集合を表しています。
点Aは、例えば、期待収益率及びリスクのどちらも高い株式aと株式bの2銘柄で構成された危険資産ポートフォリオabがあったとします。
ポートフォリオabの期待収益率及びリスクは当然高くなりますね。つまり、図では右上の方に位置することになります。画像①では点Aの位置です。
図の投資機会集合はどんな2銘柄の株式を組み合わせても、危険資産ポートフォリオabより高い期待収益率になるものは無いし、高いリスクになることも無いということを意味しています。
点Cは、例えば、期待収益率が低くリスクは中ぐらいの株式cと株式dの2銘柄で構成された危険資産ポートフォリオcdがあったとします。
ポートフォリオcdの期待収益率は当然低くリスクは中ぐらいになりますね。つまり図では下側に位置することになります。画像①では点Cの位置です。
図の投資機会集合はどんな2銘柄の株式を組み合わせても、危険資産ポートフォリオcdより低い収益率になることは無いということを意味しています。
点Dは、例えば、期待収益率は中ぐらいでリスクは低い株式eと株式fの2銘柄で構成された危険資産ポートフォリオefがあったとします。
ポートフォリオefの期待収益率は中ぐらいでリスクは当然低くになりますね。つまり図では左側に位置することになります。画像①では点Dの位置です。
図の投資機会集合はどんな2銘柄の株式を組み合わせても、危険資産ポートフォリオefよりリスクが低くなることは無いということを意味しています。
点Dについては、相関係数がマイナスの株式を組み合わせることでも実現できます。
分かりにくい部分なのでくどく書きましたが、以上が投資機会集合の意味するところです。
有効フロンティア(=効率的フロンティア)とは、
図の投資機会集合のうち、DA線のことを言います。
解説は画像①の文章を見てください。細かい部分ですが、点Dの部分がかぶっていますが点Dと点D’に分かれていると考えてください。
点Dは最小分散ポートフォリオと呼ばれます。分散とは、標準偏差を2乗したものですが標準偏差と同様にリスクを表します。
資本市場線(=CML=Capital Market Line)とは、
安全資産と危険資産ポートフォリオを組み合わせてポートフォリオを組む場合を考えます。
危険資産のみの組み合わせでは投資機会集合の中のポートフォリオしか実現できませんが、安全資産を含めると投資機会集合の外のポートフォリオを実現できます。
図の点Fは安全資産の位置する点です。縦軸上の点なので、σp(=ポートフォリオの標準偏差=ポートフォリオのリスク)が0で、E[Rp](=ポートフォリオの期待収益率)が低い資産であることを表しています。つまり安全資産ですね。
画像①ではかなり薄くなってしまっていますが、安全資産を表す点Fから有効フロンティア(=効率的フロンティア)上の接点Pを結ぶ直線を資本市場線(=CML=Capital Market Line)と呼びます。
画像②の「安全資産があるとき、効率的フロンティアは直線になる」というのは、危険資産のみの組み合わせでは有効フロンティア(=効率的フロンティア)は円弧の形状でしたが、安全資産を含めると効率的フロンティアは資本市場線(=直線)になるということです。
資本市場線上の点が意味するところは、安全資産と危険資産ポートフォリオをどれだけの比率で組み入れるかということです。
例えば、点Fは安全資産100%のポートフォリオを表し、点Pは危険資産ポートフォリオ100%のポートフォリオを表しています。
点Fと点Pの中間を点Tとすると、点Tは安全資産50%、危険ポートフォリオ50%の割合で組み入れられているポートフォリオを表しています。
点Pはマーケットポートフォリオ(=接点ポートフォリオ)と呼ばれます。
ちなみに、この設問では必要ないので詳しく説明しませんが、資本市場線上の点Pより右上の点は、安全資産の組み入れ比率がマイナスであるポートフォリオを表しています。無リスク金利 で資金を借り入れ、マーケットポートフォリオ(=接点ポートフォリオ)を購入することで実現できます。
設問の「投資家の効用に左右される部分は、この唯一選択される危険資産ポートフォリオと安全資産への投資比率の決定のみ」というのは、
資本市場線上のどのポートフォリオを選ぶかは投資家のリスク許容度次第であるということです。
例えば、リスク回避的な投資家はポートフォリオの安全資産比率を高くし、リスク愛好的な投資家はマーケットポートフォリオ(=接点ポートフォリオ)の比率を高くするということです。
実際に選択されるポートフォリオは、投資家の無差別曲線(=効用を表す曲線)とCMLの接点で決まります。
設問の「危険資産ポートフォリオ自体の選択は投資家の効用とは別に決定される」というのは、
安全資産と危険資産ポートフォリオを含むポートフォリオは点Fと点Pを通る直線だけでなく、点Fと点Q、点Fと点D、点Fと点Aを通る直線もあります。
例えば点Fと点Dを通る直線を考えると、資本市場線より傾きが小さい直線になりますね。この傾きはシャープレシオを表します。
シャープレシオとは、画像③の通り、リスクをとって運用した場合に、安全資産(=無リスク資産)のみで運用した場合よりもどれだけ収益率が高くなるかを示す指標です。
このシャープレシオは、高ければ高い方が良いです。点Fと点Q、点Fと点D、点Fと点Aを通るどの直線も資本市場線の傾きより大きくならないことが分かります。
したがって、投資家が選択する危険資産ポートフォリオは投資家の効用に関係なく、マーケットポートフォリオ(=接点ポートフォリオ)に一意に(=勝手に)決まるということです。
②
③
解答
ア
間違っていました。
図のイメージを掴める程度の知識は残っていたのですが、私が平成29年度診断士試験を受けたのは、証券アナリスト試験を受けてから2年以上経過していたので、細かい部分を忘れていました。
最適ポートフォリオはなかなかイメージを掴むのが難しい単元です。私自身がアナリスト試験を受けた時でも完璧には理解できておらず、この記事を書くために復習したことで理解を深めることが出来ました。
この記事を書くのに2時間半ぐらいかかりました(^_^;)
それでも私が、財務・会計で72点得点し科目合格できた理由は「必勝」3か月で4科目合格|中小企業診断士独学勉強方法に書いてあるので確認してください。
また、アナリスト試験では最適ポートフォリオとCAPMとの関連を問われる問題も出題されます。アナリスト試験を受験される方は、理解を深めてCAPMとの関連が説明できるようにしてください。
合格ノートではCAPMとの関連、シャープレシオの計算も、もちろんカバーしています。画像①はアナリスト2次試験の合格ノート、画像②は1次試験の合格ノートです。自分でも2次試験でやっとイメージが掴めるようになっていることが分かります。
診断士試験でも財務・会計の科目で証券分析の問題が出題されます。平成29年度は問18~問25の8問は証券分析の問題でした。
いずれもアナリスト試験では基礎的な部分にあたります。
この範囲が苦手な方は、証券アナリストの1次試験証券分析のテキストで勉強しても良いかもしれません。
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